忙しくなってまいりました>挨拶
納期が迫り、現場もにわかに殺気だっております。
焦燥は日増しにつのるばかりで、なかなか作業状況も進展せず。
利益の少ない現場なので残業代も出ません。助けて、ドラえもん!
……(´¬`)
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第二の依頼「ファリンの捜索」、その手掛かりを得る為に次に俺が向かったのは学び舎だった。
風芽丘学園――高町恭也達が通う学校。以前来校した事があるが、良い思い出ではないので割愛。
同じ敷地内に海鳴中央という別の私立学校もあるマンモス学園で、自然豊かな広い土地に建てられている。
校門越しに見える校舎は今授業中なのか、両校共に人の姿は見えない。
広いグラウンドもこの雨では使用出来ず、人っ子一人見当たらなかった。
「よし……チャンスだな」
授業参観や学校見学が目的ではない、あくまで知人との接触のみ。ファリンの顎写真を見せて、目撃情報を求める。
対象者は風芽丘側の高町恭也に美由希、神咲那美。海鳴中央側の城島晶――同じ学園に通っている事は、四月の花見で確認済み。
……そういえば、花見の場所取りや参加メンバーと段取りしたのも俺だ。くうう、六月の今なら金取れたのに!
同じ学園の月村忍は現在休学中、鳳蓮飛は心臓手術後のリハビリでまだ入院している。
下校時を狙うのが一番リスクは少ないが、何しろ時間が無い。せめて手掛かりだけでも早く手に入れなければ。
左右を確認して、俺は雨の中校門に向かってダッシュ。素早く校門を潜っ――
「そこの君! ちょっと待ちなさい!!」
学園内へ一歩踏み出したその瞬間、校門脇の駐輪場付近から静止がかかる。まだ一歩しか足を踏み入れていないのに!?
運が無いにも程があるが、俺の悪運は折り紙付き。運命とはどれほど非情なのか、先月で身に染みている。
いちいち反応せず、知らん顔で一目散に駆け抜ける。
「剣道着の君、うちの学校の生徒じゃないでしょう!? 止まって!!」
少し子供っぽさの残る、女性の叫び。実に聞き覚えのある声だった。少なくとも味方ではない。
鼻を鳴らして走る。捕まえられるなら捕まえてみろ。こんな雨の中傘も差さずに追跡が出来るのか、日和見な教師め。
たとえ一ヶ月の入院で足腰は弱っても、俺の自慢の脚はまだ健在だぜ。
「つかまえた」
「あれー!? 貴様、教壇に立つ身でずぶ濡れになってもいいのか!」
「ジャージだもん。君こそ剣道着でブラブラと――あっ、高町さん家のヤンキー君! そうでしょう!?」
「誰がヤンキーだ!? 今時の子供には分からんわ!」
「先生相手に、剣道部員の格好で騙そうとしても無駄だよ」
「しまった、大人しく部員のフリすればよかった。こんな体育教師すぐ騙せたのに」
「もう、この子は!」
桜咲く四月の日、お花見に誘う為知人に会いにこの学校へ来た事がある。
その時不幸な事故により学校で騒ぎを起こしてしまい、俺を叱り付けたのがこの教師である。
――そうそう、あの時も綺堂さくらが関連している。因果は巡るのだろうか?
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鷹城唯子――城島達が世話になっている先生。
ポニーテールの女教師は肩書き通りの元気な体育会系だった。
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『To a you side 外伝Σ 機械仕掛けの人形達と孤独の剣士』を執筆
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