2013年05月05日

「To a you side 第7楽章 暁は光と闇とを分かつ 第九十九話」予告編

GW、淡路島へ日帰り旅行に行ってきます(´・ω・`)ノ>挨拶
















***



 七月、ほぼ一ヶ月かけて行われた夜の一族の世界会議が閉会した。正確に言えば議題は残されていて話し合い自体はまだ続くのだが、夜の領域にこれ以上は踏み込めなかった。
夜の一族の次の長、正統後継者はカーミラに正式決定された。俺の強引極まりない推薦もあるが、そもそも後継者の権利を持っている者が他にはいなかったのも理由にある。
マンシュタインとルーズヴェルト家は懲罰動議により除名、ボルドィレフ家は追放、オードランとウィリアムズ家は辞退。純血種である月村すずかは、最初から拒否している。

この中でただ一人、カーミラだけが唯一かろうじて後継者としての権利を持っていた。彼女はマンシュタイン家から絶縁した身、権力闘争の被害者となった悲劇のヒロイン。

彼女は世界会議でマンシュタイン家の絶縁が認められ、長と養子縁組する事になった。カーミラの場合ドイツの分家筋とも深い繋がりがあるので、養家として位置づけられる。
今後彼女は長より夜の一族を預かる身として帝王教育を受けて、いずれ独立して王となる。カーミラは旧家より解き放たれて、新しい家を興すのだ。喜ばしい門出であった。
異世界の技術やテロリスト達への対処については、今後時間をかけて取り組んでいくらしい。後継者争いを終えて、今や1丸となった彼女達ならばきっと解決出来るはずだ。


俺は日本へ帰国する――つもりだったのだが、なかなか帰れなかった。


後継者問題については自分で強弁しておいてなんだが、意外とすんなり収まった。何しろ、カレン達全員が俺の推薦に賛同したのである。カーミラを長とすることに、誰も反対しなかった。
大人達はほぼ全員俺が除名や追放させて黙らせたので反対しようもないのだが、カレンやディアーナ達が素直に納得した事が不気味だった。絶対、また何か企んでいる。
ひとまずそれは置いておくとして、俺が日本に帰るのは夜の一族そのものが難色を示した。一族の敵だからではない、夜の一族を救った恩人だと認識されているからだ。
祖国である日本やドイツは、今も俺を血眼になって探している。爆破テロからドイツ国民を逃し、テロ襲撃から大国の要人達を助け、式典で各国の有力者を救い、そのまま姿を隠しているからだ。
支持パーティで生存は確認されている分余計に話がややこしくなっていて、何が何でも見つけ出して英雄扱いしなければ収まらないらしい。迷惑な話だった。
そして何度も計画を阻止された挙句、組織の大半を潰されたテロリスト達も躍起になって俺を探している。その度に刺客が送られては師匠が潰して情報を吐き出させ、組織を疲弊させているようだ。

表の世界も、裏社会も、俺という人間を色々な意味で求めている。こんな状態でのこのこ空港に顔を出したら、余裕で捕まって人生を棒に振ってしまう。

マスメディア対策にテロリストへの警戒、主要各国への配慮に日本との交渉、世界の人々への対応。俺を一個人として確立させるべく、夜の一族が今対処してくれているのだ。
この懸念は、アリサも前々から持っていた。支持パーティでも聞かされたが、あいつは俺がきちんと日本に帰れるように活動してくれていたのだ。
俺があいつの力を借りず女帝を倒したので、アリサもルーズヴェルトの裏切り者とはならずに円満に退職出来ると笑っていた。あいつの言う"円満"の意味を、俺は知りたくもないが。

俺は今高級ホテルに待機させられているが、決して"独り"ではない。夜の一族が総出で俺を我が子以上に手厚く保護して、厳重に守ってくれているのだ。

このホテルだって夜の一族が経営しているが、支配人からボーイに至るまで全て経歴を洗い出された者達ばかりで、要人レベルの警備体制が敷かれている。実に、息苦しい。
ほぼ二十四時間妹さんが護衛しているし、銃を携帯したクリスチーナがホテルに陣取って周辺を警戒。カレンは表の世界を情報操作、ディアーナは裏社会を監視して、網を張っている。
身の回りの世話はローゼが行い、来客の取次はノエルが、メールや電話等の連絡は全部忍が受け取ってチェックしている。金や貴重品は全て、アリサが内々に管理。


***



俺は一体何者なのか、自分でもよく分からなくなってきた。一人で、トイレにも行けやしない。




モンロー研究所>



→私のHP

 



posted by リョウ at 00:55| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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