2008年12月16日

症状

ご心配おかけしました>挨拶


土日で何とか熱も下がり、薬を飲んで毎日の仕事に望んでいます。
錠剤なので服用し易く、職場でも昼休みに飲んでいます。
完治とまではいきませんが、日常には戻れました。
HP活動も正式に再開します。

メールや掲示板、拍手で沢山の御見舞いメッセージありがとうございました。

悪化しないように、無理せずやる事をやっていきたいと思います。
リハビリ代わりにヴァンドレッド小説を執筆中ですので、一部公開させて頂きます。
クリスマス記念小説に関しても、次回の日記で詳細を書きますね。

***

どうにも認め難いが……何度も撃たれた経験が活きたらしい。
新手の警備兵と出くわした瞬間、何か言われる前に身体が動いていた。
死の宣告と共に発砲――行動に出た警備兵より一瞬早く、懐に飛び込めた。
相手はプロ、手加減など片隅にも浮かばない。
無我夢中で膝蹴りを入れて、そのまま一気に逃げ出した。

「痛っ……何度も撃たれてもいてえな……」

 完全に回復出来ず、弾丸が脇腹をごく僅かだが掠めてしまう。
肉の一部を抉られて、走る度に真っ赤な血が零れる。
失われた記憶が戻った後も士官候補生達との戦闘や強制連行で尋問に幽閉、心身共に傷付いている。
――ディータ・リーベライの不慮の事故から、心休まる時間などなかった。
記憶喪失の時期が一番平和だった事が、何とも皮肉だ。

「……別れの一つも言えなかったけど――元気でな、親父」

ヒビキ・トカイ博士の代替品としてクローン培養され、結果失敗作として時空の彼方に捨てられた自分。
一度目は地球側の時空転移実験材料として、二度目はホフヌングの臨界突破によって――タラークに落ちて、親父に拾われた。
ペークシス・プラグマによる時空転移が歴史にどのような影響を与えるのか、一個人に分かりようが無い。
自分一人で出来る事なんて、高が知れている。
今回の一連の出来事で、つくづく痛感させられた。

「ドゥエロ、バート、マグノ海賊団、メラナス――セラン。生きていてくれよ、皆!」

過去を変えるのではなく、辛い現実を見据えて、より良い未来を目指す。
奇跡は起こせる、男と女が手を組めば。
組めればの話だけど――カイは自嘲気味に笑う。
敵対して追い出された事実に足が遅くなるが、幸か不幸か悩む時間は無かった。

「いたぞ、捕まえろ!」
「極秘の建造艦だ、捕縛が無理なら殺せ!」

舌打ちする。分かっていたが、素人の一撃で無力化は出来なかったようだ。
応援を呼んだのか、足音や人の気配が増えている。しかも殺気立っている。
視界に入った瞬間、銃弾の雨に襲われるのは間違いない。
考えるのをやめて、カイは一目散に走った。
建造中の不案内な艦の中を痛みを抱えて走り回り――ようやく目的地へ辿り付く事が出来た。

「ハァ、ハァ……やっと見つけたぞ、ペークシス・プラグマ!」

古き時代地球より旅立った植民船、長い航海を力強く支えた動力源。
すっかり寂れた保管庫に、天にも届かん巨大な結晶体が鎮座していた。

ペークシス・プラグマ、未知なる可能性を持つエネルギー体。

「後は動かす方法だけど……どうやら一か八かに賭けるしかないようだな。
毎度の事だけど」

血の跡でも辿って来たのか、確実に迫り来る警備隊。
そう遠くない内に、この保管庫に流れ込んで来るだろう。
出入り口は一つ――逃げる道も隠れる場所も無い。

「……俺が船に取り残されたあの時、赤髪は心配してくれた。
青髪も金髪も、海賊だけど悪い奴等ではなかった。

ペークシス……お前が船を飛ばしてくれたあの時から、俺達は始まったんだ」

頼む、ここで終わりにしないでくれ!」

マグノ海賊団とカイとの戦い、切り離されたイカヅチ内で彼らは睨み合っていた。
カイの戦略で終結しかけていた略奪戦は、タラーク首相の判断で撃ち込まれたミサイルで何もかも吹き飛んだ。
救ってくれたのはペークシス・プラグマ、発生したワームホールで彼らは危機を脱した。

男と女の物語は、宇宙の果てから始まった――

眠っていたペークシスが何故突然起動したのか、今でも判明していない。
メイア達を救ってくれたのか、ミサイル直撃による自分自身の消滅を感じたのか――
何にせよ、偶然とは考え難いタイミングだった。

「!? 動力部にまで踏み込むとは!」
「何たる失態! 恥は雪がねばならん――殺せ!」
「撃て、撃て!」

警備隊の怒りに満ちた殺意、全身に突き刺さる銃口の数々――
本能が悲鳴を上げる、身体が全力で回避を訴えている。
喉元までこみ上げる恐怖や不安を無理やり飲み込んで、カイはその場に踏み止まる。
ペークシス・プラグマに手を当てて、目の前の死から決して目を逸らさない。

命を投げ出す行為――

時間と空間を越える、半端な覚悟では絶対に不可能。
身も心も相手に預け、自分の全てをこの機に賭ける――

信頼とは、そこから生まれる。



「応えてくれ、ペークシス・プラグマ!!」


***


鼓膜を震わせる銃声と、網膜を焼く閃光――
死への甘い誘惑か、生への力強い呼びかけか。
身体の芯に至るまで飲み込まれて、カイの視界は闇に閉ざされた。



→私のHP





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posted by リョウ at 21:28| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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